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中小企業の事業継続の現状

今回は中小企業の承継についての現状とそれが社会にもたらす影響について考えてみたいと思います。

18年1月において、中小企業庁が当面の中小企業・小規模事業者政策について発表しました。その内容は想定通り驚愕なものとなっています。同庁によれば、今後10年の間に平均引退年齢である70歳を超える中小企業・小規模事業者の経営者は約245万人にのぼるとされ、このうちの約半数、127万人について後継者が未定という状況にあると発表されています。

後継者不足により従来多く選択されてきた手段が廃業です。仮に127万社の多くが廃業を撰んだ場合の影響について考えてみます。

様々な問題が生じますが、中でも最も大きな問題は日本における「職人不足」と「将来の雇用の場の減少」です。

まず「職人不足」についてですが、例えば製造業や建設業において人手でないと処理できない仕事が多く存在しています。中小企業において、高額な設備投資をかけられないという事情もありますが、明らかに人手でなければできない作業や、仮に機械で行う作業にしても「人の目で見る」能力が必要であり、その多くの仕事を行ってきたのが中小企業であるということです。中小企業の廃業が増加するということは、これらの技術や経験の承継の機会を失うこととイコールではなかと思います。
 
次に「将来の雇用の場の減少」についてです。AIの進化と人口減少により、今後の労働環境のあり方は大きく変化していくことでしょう。
しかし、そのような中でも人が労働を放棄することにはならないでしょう。少し本題とずれていきそうなので話しをもどしますが、中小企業の廃業が現在のスピードで進むとどうなるのか。国の統計では、25年頃までの10年間の累計で約650万人の雇用と約22兆円の国内総生産(GDP)が失われる可能性があるといわれています。そしてその中には、黒字廃業や豊富な技術経験の喪失が含まれているということです。

日本の中小企業政策において、このような状況下を少しでも変えるためにM&Aや事業承継に、本気で向き合う時期に入ったのではないかと思います。

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